お米に寄り付く虫たち
食品等に寄り付く虫特集第四弾「ノコギリヒラタムシ」
「ノコギリコクヌスト」の「コクヌスト」を漢字で書くと「穀盗人」(こくぬすっと)、すなわち「穀物泥棒」の意味です。その食性で、「砕けた米」や「ヌカ」を好むので、「穀盗人」と名付けられたと思われます。穀類・穀粉だけではなく、加工食品(お菓子、ピーナッツ、ドライフルーツ等)幅広いものを餌とします。
しかも、この虫は長生きです。1年以上生存が出来る生命力の持ち主です。(平均半年くらい)その為、侵入経路や侵入時期の特定が不可能な虫です。
「ノコギリヒラタムシ」の特徴は以下の通りです。
- 胴体にギザギザが付いている。(名前の「ノコギリ」の由来です。)
- 茶褐色の体。
- 3mm位の大きさになるので、発見はできる。
- 噛む力が弱く、粉を好む。
- 長生き
- 人を刺したりはしません。
- 乾燥や低温等厳しい環境でも生存可能な生命力の持ち主。
この虫も発見した場合、「コクゾウムシ」と同様な対処が必要です。
(「コクゾウムシ」の対処法)
「コクヌスト」(穀盗人)と名前が付く位なので、食品を餌とする虫としては有名だったのですが、最近はあまり見かけなくなった感じがします。
昔は家庭内に粉物の食品があったのですが(小麦粉/米ぬか/片栗粉等)、最近は昔ほど家庭内に粉物の食品が減ったのも、見かけなくなった一因ではないかと思います。
また、卵もやはり粉物や穀物屑があるところに産むようです。その為、原料玄米に卵を産みつけられる事は少ないと思います。万が一、原料玄米表面に卵が付いていたとしても、精米工程上原料玄米の表皮は摺り落とされてしまう為、一緒に卵が摺り落とされてしまい、製品完成時に卵が入る可能性は極めて低いです。
仮に、家庭で虫が発生してしまい、お米表面に卵があったとしても、洗米時に大きさが0.1mm位しかない卵は洗い流されてしまいます。さらに、炊飯時に高温で炊き上げてしまうので、卵は死滅してしまいます。
万が一口に入ったとしても、毒性のある虫ではありませんので、人間に害を及ぼすことはありません。
この虫は粉物を好むので、もし発見した場合は、キレイに拭き掃除をして、「砕けたお米」や「穀物屑」を取り除きましょう。
また、開封したままの食品や食品袋がありましたら、中に虫がいないか確認をして密閉して下さい。
もちろん、米びつも彼らの餌となる「ヌカ」が付着しているので、キレイに清掃する事をおススメします。(特にハイザーは分解清掃をおススメします。手の届かないところにヌカが溜まっている事があります。)
食品を餌とする他の虫同様に、人間の生活圏に普通に生息しており、撲滅は不可能ですが、精米工場内では清掃を徹底し、極力外部からの侵入を防いでおります。
さて、4回にわたって食品を餌にしている虫を特集致しました。
「えー、見たことがない」と思われる方が多いと思いますが、彼らは人間の生活圏に普通に生息しており、どこかで一生懸命生きています。そして、昔から人間の生活圏に入り込んでいるのです。
確かに、見た目はあまりいいものではありません。だけど、見かけた時にここでの記事を参考にされて、落ち着いて対処して下さい。
それでは、次回また特集する機会が来ましたら、ここで紹介したいと思います。
※「ノコギリヒラタムシ」写真提供:札幌市保健所『住まいの虫たち』