お米に寄り付く虫たち
食品等に寄り付く虫特集 第三弾「ノシメマダラメイガ」
年間で発見の報告が一番多いのがこの「ノシメマダラメイガ」です。
この虫は餌とする食品が多く、米・穀物・豆類・乾燥果実・乾燥野菜・乾麺・鳥の餌・小麦粉等の粉類・油分の多いお菓子や加工食品等を餌としています。
また、産卵方法も餌となるものの表面や、その包装表面にも産卵をするので、侵入経路の特定が不可能なやっかいな虫です。
「ノシメマダラメイガ」の特徴は以下の通りです。
- 成虫は小さく細長い「ガ」。幼虫は乳白色で細長い
- 夜行性で産卵も夜行う
- 夜や暗いところでは良く飛ぶ
- 食品の包装を食い破って侵入や、その包装から出てくる
- 幅広い食性
- 包装表面等にも産卵する
- 日本中に生息し、人間の生活圏に普通にいる
この虫も発見した場合、「コクゾウムシ」と同様な対処が必要です。
(「コクゾウムシ」の対処法)
この虫は本当に発生の報告が多い虫です。特に暖かくなる春頃から夏場、残暑のある秋口まで活発に活動します。しかも、最近は家屋の気密性が高く、冬も室内は暖かい為、冬場でも報告がある事があります。
私も入社以来、この虫にはホトホト参っております。
しかし、原料玄米の表面に卵を産み付けられても、精米工程上原料玄米の表皮は摺り落とされてしまう為、一緒に卵が摺り落とされてしまい、製品完成時に卵が入る可能性は極めて低いです。
また、家庭で虫が発生してしまい、仮にお米表面に卵があったとしても、洗米時に大きさが0.4mm位しかない卵は洗い流されてしまいます。さらに、炊飯時に高温で炊き上げてしまうので、卵は死滅してしまいます。
万が一、口に入ったとしても毒性のある虫ではありませんので、人間に害を及ぼすことはありません。
この虫達は家庭内にも侵入する可能性はありますので、是非、米びつや冷蔵庫、台所の周辺の清掃と、食品の長期保存をなるべく避けることをおススメします。
食品を餌とする他の虫同様に、人間の生活圏に普通に生息しており、撲滅は不可能ですが、精米工場内では清掃を徹底し、極力外部からの侵入を防いでおります。
次回は、「ノコギリヒラタムシ」を紹介します。
※「ノシメマダラメイガ」写真提供:札幌市保健所『住まいの虫たち』